小児科一般
Pedicatrics
小児科一般
Pedicatrics
子どもたちが高熱になると、熱性けいれんをご心配される親御さんも多いことかと思います。
生後6か月~5歳くらいまでの子どもの6%くらいに起こるとされています。
熱性けいれんは薬を使用しなくても短時間でおさまり、良好な経過をだどることが多いものの、症状が劇的で親御さんの不安が強い疾患でもあるため、熱性けいれんについて是非理解しておきましょう。
①発熱時(通常発熱後24時間以内)に突然意識がなくなり、体がつっぱる、ガタガタ震える、白目をむく、全身の力がぬけるなどの症状が出ます。
②呼吸はできていないことが多く、顔色が真っ青になります(チアノーゼ)。
③よだれが出たり、嘔吐することがあります。
④たいていの場合発作の持続は5分以内で、発作が終わると顔色が回復します。その後寝てしまうことが多いですが、ときにボーっとしたり、おかしな動きをすることがあります。30分程度でもとに戻ります。
①まずは“落ち着きましょう”。熱性けいれんであれば短時間で自然に発作がおさまります。
②衣服をゆるめましょう。
③嘔吐がある場合は顔や体を横に向けましょう。口の周りが汚れていれば拭いてかまいません。
④できれば、発作の様子(けいれんが左右対称か、など)や、持続時間を観察しましょう。
⑤歯をくいしばっていることがありますが、歯の間にものをはさんではいけません。
⑥発作が5分以上止まらない場合は救急車を呼びましょう。
⑦発作がおさまったあとも、意識がしっかり回復するまではお子さんから目をはなさないようにしましょう。
5分以内のけいれんですぐに意識も回復するようなら、夜中の場合には翌朝の受診でかまいません。
ただし、けいれんを1日に2回以上起こした場合や、左右非対称のけいれんの場合にはすぐに医療機関を受診しましょう。
熱性けいれんが原因で後遺症を残すことはほぼありません。
ただし、髄膜炎や脳炎の発熱に伴って起こるけいれんは熱性けいれんとは区別されており、この場合には後遺症を残す場合もあります。けいれんの時間が長い、意識の回復が遅い、けいれんを繰り返す場合はこういった病気の可能性があるため、すぐに医療機関を受診しましょう。
また、熱性けいれんを起こしたことがある子どもたちが、後にてんかんと診断される確率は数%といわれています。熱性けいれんがてんかんの原因になるわけではないため、熱性けいれんを予防することはてんかんの予防にはなりません。
熱性けいれんを2回以上起こす確率は30%程度といわれています。
したがってほとんどの子どもたちの熱性けいれんは1回のみなのです。
熱性けいれんは1回のみのことが多く、けいれん止めの薬には眠気、ふらつき、不機嫌などの副作用もあることから、発熱時にけいれんを起こしたことがある子どもの全員が予防のためにお薬を使う必要はありません。
けいれんの状況や頻度などによって必要性を判断します。
以前は熱性けいれんを起こした子どもたちは解熱剤の使用を控えたほうがよいという考え方もありました。
しかし様々な検討が行われた結果、現在では解熱剤の使用により熱性けいれんが起こりやすくなるということはないといわれています。
また、逆に解熱剤を使用すると熱性けいれんの予防になるということもないといわれています。
したがって、熱性けいれんの既往の有無にかかわらず、高熱のためにぐったりしている、水分や睡眠がとれない場合には解熱剤を使用してかまいません。
熱性けいれん予防のための座薬と解熱剤の座薬を同時に使用する場合には、30分の間隔をあけましょう。
熱性けいれん後、何か月経過すれば安全に予防接種ができるという基準はありません。
予防接種で病気を予防することもとても大切です。接種のメリット、デメリットを医師と相談しながら適切なタイミングで予防接種を受けましょう。