小児科一般
Pedicatrics
小児科一般
Pedicatrics
気管支喘息は、
① 気道(空気の通り道)に慢性的に炎症が起こる
② 気道過敏性(少しの刺激に対して敏感に反応してしまう状態)が生じる
③ 発作的に気道が狭くなり、喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)や咳嗽(せき)、呼吸困難を繰り返す
といった病気です。発作の治療により、咳や喘鳴がなくなっても、気道の炎症は続いていることも多く実は日常生活や、運動に影響をきたしていることも少なくありません。
喘息の診断は、喘鳴などの呼吸困難の症状や、本人または家族のアレルギー体質、検査(血液検査や呼吸機能検査※)所見を総合して判断します。
喘息をしっかり診断する目的は、ホームケアや発作予防の治療に早期に確実につなげることにあります。「喘息の気がある」として、咳や喘鳴がある時だけ治療を受けていると気管のダメージがどんどん強くなっていき、治りにくくなってしまいます。
喘息の治療は、発作を抑える治療と発作を予防する治療の2つがあります。
ひとつめは急性増悪(発作)に対する治療です。気管支を広げる薬を服用したり、吸入したりします。症状が強い場合にはステロイド薬の内服や注射が行われます。
あらかじめ、発作時の治療薬が処方されている場合には、まずご家庭で気管支拡張剤の内服や、吸入を行って構いません。ただし、貼付薬(テープ)は即効性がないため、急性増悪時に単独で使用するのは不向きです。吸入後20分~1時間後に症状がまだ残存している場合には再度吸入し、それでも症状が軽快しない場合は速やかに医療機関を受診しましょう。
ふたつめは症状の重症度に応じ、発作を予防し、寛解・治癒を目指す長期管理としての治療です。ロイコトリエン受容体拮抗薬という種類の抗アレルギー薬の内服や、ステロイドの吸入をします。ステロイドと聞くと、副作用が気になるかもしれませんが、吸入ステロイドは内服に比べて非常に少ない量で効果を発揮します。肺に作用したあと、わずかな量が全身に入るだけなので、成長などへの影響はほぼありません。低年齢の子どもたちは、ネブライザーという機器を用いることが多いですが、比較的安価で、インターネットなどでも購入が可能です。
子どもたちの場合、80%~90%がダニなどのアレルギーと関係しています。ダニ以外にペットの毛やカビも原因となるため、こまめな掃除をこころがけましょう。ダニ対策を徹底するのは意外と大変です。ぬいぐるみやカーペットなどの使用を減らしたり、防ダニグッズを有効に活用しましょう。
喘息の子どもたちは、運動により喘鳴や呼吸困難を起こすことがあり、この状態を運動誘発喘息といいます。冬場のマラソンなど、冷たく乾燥した環境下で起こりやすく、運動終了後5-10分程度で症状が強くなります。たいていの場合、治療をしなくても30分程度で軽快します。しかし、子どもたちは授業や部活、習い事で運動をする機会が多く、運動後に喘息が起こることで、自然に運動を控えたり、避けてしまうこともあるようです。
①しっかりとウォーミングアップを行う(10-20分程度)。
②運動の前に予防の薬を吸入または内服する。
③普段の喘息治療をしっかり行う。
④普段から適切にトレーニングする。
などの対策をしっかり行い、子どもたちが元気に楽しく運動できるようにしましょう。
子どもたちの喘息は年齢とともに軽快することが多いものの、30%が成人に移行することや、大人になって発症する慢性肺疾患のリスクになることも言われています。
従って、発作が起こらなくなったあとも、気道の炎症がおさまるまでしっかり治療を継続することが重要です。
毎日の飲み薬や吸入は子どもたち、親御さんにとっても大変ですが、喘息発作は子どもたちにとって非常につらい時間です。子どもたちを励ましながら頑張って治療を続けましょう。
*当院では呼気一酸化窒素(FeNO)の検査が可能です。
FeNOは気管支喘息の主要な病態である気道の炎症を表す指標です。
10年ほど前から徐々に測定されるようになり、ゲームのような感覚で
比較的簡単に測定できることから、子どもたちにも行いやすい検査となっています。
10秒間息を吐くため、だいたい5~6歳以上が検査適応の目安となります。
喘息の診断や治療の効果判定は、一般的に自覚症状(咳や喘鳴)の程度、頻度が参考になりますが、FeNO検査によって他覚的に以下のことが評価できます。
① 喘息の重症度
② 喘息の治療効効果
③ なんとなく喘息と診断されている場合の診断の参考
検査は保険適応です。